土
13
8月
2011
8月10日に鉄骨建方が始まるというのに前日の午後になってようやく建方要領ならぬ、建方手順のFAXが1枚届いた。
予め監理計画書にて「鉄骨工事現場施工要領書」の提出を明記している。そして提出も要請しているのだが、どうも出てきそうもない。そこで肝心の建方の順序だけでも知らせるようにと、8月4日の鉄骨製品検査で指示しておいた。
この現場は各種斜線制限と日影規制をクリアしながら容積の最大化を目指している。設計も容易ではなかった。設計で苦労すると施工はもっと大変になる。だから設計は単純にすることは鉄則。特に構造は複雑にしてはいけない。なのに今回は随分複雑な骨組になってしまった。
道路斜線をクリアするために柱は3階で少し内側に倒れ4階では更に倒れた姿になっている。その2段階に折れた骨組通りに外壁や屋根を張って面白い形になったかもしれないが、そこは正統派ゆえ壁は垂直に屋根は勾配で建物の頂部らしきデザインとする。
鉄骨は組み立てている時が最も不安定になる。鉄骨の節々は仮留めされただけで本来の強度と安定性は持ちえない。しかも柱が折れ傾いているので倒れやすい。例えるとズボンに片足を通してもう片方を通そうとして一本足状態になった時のようだ。
さらにクレーン1台で作業をするので、倒れようとする柱を支えながら梁を持ち上げもう一方の柱と繋ぐことはできない。なお更用意周到に建方計画を練らなければならない。
建方計画を構造設計者と相談して方針を決定する。4つの対策を鉄骨業者に示しFAXを送る。
翌日現場では「昨日のことは検討したがどれもできない。これまでの経験があるから。」と返答である。「これまでの経験」を否定するつもりはないが、同様の事故が起きるまで「これまでの経験」は続けられてきた。経験とともに科学的裏付けも必要である。しかも3.11の震災以降関東でも地震は多くなっている。事故を未然に防ぐためリスクを最小限に回避することも監理者の役目である。
対応を協議するため鉄骨加工会社の責任者を現場に呼んでもらう。本人達にできないことを指示しても慣れない分リスクは高まるので、できる範囲のことをやってもらう。
仮留めのボルトを多く入れて、柱をワイヤー2本でV字型に引張りブレースにすることに。
なんとか柱を繋ぐ梁が一本は入り今日の作業は終了。地震が来ないことを願った。