現在営業許可を持っていても事業者が変わると新たに営業許可を取得することになります。
以前は保健所単独の判断で営業許可が下りていたところも、現在では、建築審査課と消防署に照会され、建築も消防も適法であることが確認されます。
言い換えれば以前は違法建築にも営業許可は下りていましたが、今は降りません。
用途変更の部分が200㎡を超えると新築同様に確認申請が必要になります。
古い建物で確認申請は出したけれど、竣工時に完了検査を受けていない場合がよくあります。
完了検査を済ませると「検済」と呼ばれる「工事完了検査済証」が発行されます。
これがないと用途変更は容易になりません。
完了検査を済ませているかどうかわからない場合は、各自治体の建築課で「台帳記載事項証明書」を発行してもらうか、完了検査の有無を問い合わせすることが可能になります。
検査済証があって用途変更する場合に注意しなくてはならないことがあります。
これまで3階にホテル用途があるものは耐火建築物としなければなりませんでした。
2019年6月に改正・建築基準法の施行によって、準耐火建築物でも可能になりました。
これによって多くの3階の木造住宅も旅館に用途変更の可能性が開かれました。
共同住宅は文教地区に建設できますが、宿泊施設はできません。
住居専用地域も同様です。
共同住宅の廊下など共用部の面積は緩和されますが、宿泊施設は緩和されませんので同じ建物でも容積率は増加してしまい容積率オーバの可能性が生まれ用途変更できないことがあります。
また、現行法ではエレベータシャフトの床面積は緩和されますので、両者を合わせて容積率の確認が必要になります。
ビルの一部を宿泊施設に用途変更する場合、消防法では床面積の10%もしくは300㎡を超えると建物全体が複合用途となり、用途変更した部分以外も自動火災報知機など消防設備の敷設が求められます。
階段各部の寸法は用途によって異なります。戸建住宅や長屋は最も緩く、ホテル系はそれよりも厳しいので、ホテル系の基準に適合しない場合があります。
また、階段は建築基準法では主要な構造物であり、その過半を変更をする場合は確認申請が必要になります。
そうすると階に1台しかない階段は、それを変えると確認申請が必要になります。
それを回避する策もあります。
現在の用途に限らず東京都では路地状敷地(旗状敷地)には宿泊施設に用途変更できません。