民泊に関する法律

今、急ピッチに旅行業法や旅館業法が見直しされている背景は、外国人の旅行者が急増していることにあります。宿泊施設が足りないのに、現在の旅行業法の枠では対応することができない。2020年に開催される東京オリンピック需要に向けて、国家戦略として法の整備や大幅な改革をすることが課題となっています。

 

民泊と関わりがある法律は2つ

民泊運営にあたり関わりがある代表的な法律といえば「旅館業法」と「旅行業法」の2つでしょう。この2つは名前こそ似ていますが、関わり方は全く異なります。

 

民泊オーナーと関わりが一番深い「旅館業法」

まず、民泊運営を考えたときに一番深い法律が「旅館業法」です。

「旅館業法」が定義する「旅館業」とは、”施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」であることです。ここでいう”宿泊”とは寝具を使用して施設を利用すること。”人を宿泊させる営業”とは不特定多数を集客して有料で部屋を貸すことを指し、また、①施設の管理・経営形態を相対的に見て、宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業車にあると社会通念上認められること、②施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないことを原則として営業しているものであること」のどちらかに該当するかで判断されます。

ここで重要なポイントは”宿泊料を受けて”というところです。宿泊料を徴収しない場合は旅館業法の適応を受けないので、例えば友達を泊めることなどは範囲外です。

 

<宿泊施設・4つの種類>

旅館業法では旅館業を「ホテル営業」「旅館営業」「簡易宿所営業」「下宿営業」の4つに分類しています。4つの営業形態はそれぞれに特徴があり、どれにも当てはまらない場合は旅館業と認められません。

その中で、国家戦略特区において旅館業法の特例を受け、外国人旅行客に提供すること・滞在日数・床面積などの条件を満たしたものが、法的に合法に民泊の運営ができる施設になります。

 

 

民泊サービスの仲介事業と関わる「旅行業法」

次に民泊仲介事業を展開する場合に関わりがあるのが「旅行業法」です。

「旅行業」とは、”報酬を得て、旅行者と運送・宿泊サービス提供機関の間に入り、旅行者がそのサービスを受けられるように複数のサービスを組み合わせた旅行商品の企画や個々のサービスの手配をする行為”です。この中の”宿泊サービス”とは「旅館業」に該当するサービスのことを指しており、民泊行為が旅館業に該当するため、民泊を仲介する事業は旅行業法に基づき登録を受ける必要があります。

 

直接民泊のオーナーになるわけではなく、それを仲介する事業を行う場合でも、旅行業法において活動を行うことが必要です。

 

その他の民泊実施可能な事案

このように、民泊は「旅館業法」「旅行業法」などの法制度に基づいて運営していかなければいけません。これらの法律を無視して民泊を運営したり、仲介事業を行った場合には違法行為に当たります。

民泊許可は「旅館業法」において国家戦略特区にあることなど様々な条件の緩和により実施できることはお話しましたが、それ以外にも実施が可能な場合があります。

 

農林漁業宿泊体験民宿業

Airbnbなどの民泊サービスがメジャーになるまで、日本で「民泊」といえばこのスタイルでした。農山漁村余暇法に基づく農林漁業体験民宿業で、農林漁業者が営むものは旅館業法が適応されている中でも特例を受けることができます。その特例とは、「簡易宿所の客室延床面積33㎡以上」の構造設備基準の適用の除外です。

 

イベント民泊

年1回・2~3日程度のイベント開催時に、宿泊施設の不足が見込まれる場合の開催地自治体からの要請等により、自宅を提供するような公共性の高いケースについては、宿泊に反復継続性がなく、「業」には当たらないとして旅館業には該当せず、旅館業法の適用外となります。

 

 

民泊の法的なリスクを正しく理解しよう

Airbnbなどの民泊サービスを利用した部屋の貸し出しや宿泊が少しずつ浸透してきましたが、「民泊は法的にグレーゾーン」という表現をよく聞きます。しかし、上記のように民泊については「旅館業法」や「旅行業法」などが関わっており、これら法律を無視した場合は「グレー」ではなく「ブラック」!法律違反になります。

 

政府は近年増え続ける外国人旅行者や、国際競争力向上のため民泊解禁に向け議論を進めていますが、解禁されても当然ながら様々な条件や規制があることでしょう。これから民泊を運営していこうとお考えの方は、法的なリスクなどをしっかり理解した上で進めていきましょう。

 

 


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