旅館か簡易宿所か

旅館・ホテルと簡易宿所の違い

 旅館とホテルは2018年の旅館業法の改正によって統合され、旅館・ホテルになりました。

 旅館・ホテルと簡易宿所の違いは何か?

 

 旅館業法では、客室の床面積が、個室と多数人室(相部屋)を比べた場合、個室が多ければ旅館・ホテル、多数人室が多ければ簡易宿所になります。

 「旅館の営業許可より簡易宿所の方が取りやすい。」と、初めてのお客様からよく聞きます。でも、実際にはそうではありません。どちらも、同じ様式の営業許可申請にて審査が行われます。ただ、施設の作り方や面積の要件に差があります。

 

 旅館・ホテルと簡易宿所の構造(施設の造り)については、両者は異なります。各自治体で詳細が条例で定められています。

 自治体間の差異はありますが、総じて東京都23区ではホテル・旅館はベッド形式は「客室の構造部分の合計面積」(自治体によって定義が異なりますが、クローゼットを除く客が入れる部分)が最低9㎡、布団スタイルであれば7㎡+布団収納になります。それに比べて簡易宿所は3㎡から可能になります。

 客室定員は「客室の有効面積」(客室からクローゼット・バス・トイレ・洗面等を除いた部分)旅館・ホテルは一人当たり3㎡、簡易宿所は1.5㎡になります。

 

 建築基準法と消防法においては、両者の区別はありません。

 

 その他に東京都には建築安全条例があり、簡易宿所には窓先空地が必要になります。それは各客室から道路まで避難できる1.5m以上(客室面積100㎡以下の場合)の通路を敷地内に確保する必要があります。窓先空地は旅館・ホテルには求められておりません。

負担が大きい水回り

 共用のトイレや洗面には設置台数の定めがあります。多くは階ごとの定員に応じて設置台数が定められています。

 

 トイレは最低2台必要で定員が5人増えるごとに1台づつ追加が必要になります。洗面は最低1台設置し5人増えるごとに1台づつ追加が必要です。

 これは簡易宿所に限らず旅館・ホテルでも共用であれば同様の計算をします。逆に簡易宿所内の個室用であればそれぞれ1台づつで構いません。

 そして、トイレの手洗いと洗面を分けるように指導する自治体や、トイレのロータンクの手洗は認めない自治体もあります。そうしますと、洗面はさらに最低1台増えることになります。

 

 シャワーやバスの設置は必要です。近くに銭湯等があれば設置を免除するところもありますが、その銭湯が廃止になれば旅館営業も成り立たなくなりますので、注意が必要でしょう。

 シャワーやバスの台数は特に定められていませんが、外国人は日本人ほど体を洗いませんので、定員10名につき1台が目安になります。

 

 また、水廻の工事費用は他の建築工事に比べて単価が高く、機器や配管が設置できる場所も限らますので、設置する機器の個数や配管のルートの検討は慎重にすべきです。 

戸建住宅の用途変更は旅館・ホテルか簡易宿所か

 簡易宿所のメリットは、客室の最小面積は旅館・ホテルよりも小さいこと。客室定員も一人当たりの有効面積が旅館・ホテルの半分のため、定員を2倍見込めるメリットはあります。

 

 一方、簡易宿所のデメリットはトイレを最低2台(客室階ごとに)設けなければなりません。

そして、東京都では簡易宿所には窓先空地が必要になります。戸建住宅には窓先空地は求められていませんので、敷地いっぱいに建物は建てられていて、あとから避難通路を設けられるほどの余裕はないでしょう。角地なら簡易宿所の可能性は高まります。または部屋を改造して客室を全て道路に面することで簡易宿所が可能になります。

 

 営業許可申請は旅館・ホテルも簡易宿所も同じで難易性に差はありません。 

【関連コラム】民泊の用途地域・用途変更について

【関連コラム】民泊(旅館業)ビジネスとは

【関連コラム】民泊セルフチェック