結論から言うと墨田区保健所からは不可とのご回答でした。
もともと既存の事務所併用住宅(住宅と事務所が一つの建物に入っている)を宿泊施設へ用途変更するにあたり、オフィスと住居の特性を外国人向け宿泊施設に活かせないか、同時に東京都の簡易宿所の窓先空地の課題をクリアできないかと言うのが発端でした。
オフィス部分は大部屋でベッドを並べるバンクベッドスタイルで台数を確保し、住宅部分は小部屋の寝室を個室として民泊スタイルでキッチン・リビングを共有するものです。既存の特性に応じて新しい宿泊施設に変えれば改修工事費も多少低く抑えられると考えました。
特に東京都では簡易宿所の場合、各宿泊室から屋外に直接避難でき、そこから道路に通じる避難経路を確保する「窓先空地」が求められます。しかし、旅館には「窓先空地」は求められない。
多くの住宅付き複合施設は敷地一杯に細高く建てられます。ペンシルビルともいわれ最上部がオーナ住居に充てられる事が多い。オーナ住居は作りもよく個性もあるので、壊さずそのまま使えば他にはない特色のある宿泊施設になります。都心では敷地にゆとりがないことが多いので、窓先空地は道路面に限られてしまいます。そうなると大部屋の簡易宿所になってしまいます。
都合よく、オフィスを簡易宿所に、住宅を旅館にして、エントランスには共通の帳場にして、同一事業者による一元管理にする策ではありました。残念なことに保健所からは、旅館と簡易宿所の異なる許可に対して、双方が共用するスペースがあるので許可できない。帳場やエレベータの共用も許可できない。帳場2つ設けるにしても動線の交差やエレベータをどちらかが使用できないのは厳しいものになる。10床以下だとマンションのような複数の住戸を宿泊室にする場合、帳場を共有することも認められていますが、その考え方も採用されませんでした。
同一の管理者による、同一の法令に基づく、同一の所管であるのですが、墨田区ではダメでした。そもそも、そのような事例もないとのことでしたので、ダメ元感はありました。これは自治体ごとの考えによるそうですので、他では可能かも知れません。